垣根涼介『人生教習所(上・下)』読了。
いまだ行ったことのない小笠原諸島についていろいろ書かれていて面白かったし、それ以上にこの作者人間分析というか洞察というか、その力量にいつも感心する。が、さらにもうひとひねりあるのかなーという変な期待はしてしまったが、案外素直に終わってしまった。
宇江佐真理『うめ婆行状記』読了。
未完の遺作だったのか……。昔だから仕方ないけど、四人の子をなして48歳でももうお婆なんだな。年を取って、これまで苦労して、やりたいことをやれるようになる立場の人がこの時代どのくらいいたのかわからないけど、小金のある爺が好き勝手出来るなら、婆がやったっていいんだよな、と痛快。
一色伸幸『配達されたい私たち』読了。
読みはじめ、鬱の話か、重いなー、いやだなーと思ったけれど、知らない間にストーリーに引き込まれていたのはさすが名脚本家。面白かったけれど、ちょっとやっぱり暗かったな。
乙川優三郎『かずら野』読了。
いつもながらの面白さだけれど、主人公があまりにも苦労しすぎていて辛くなる。女三界に家無し、の時代とはいえ、親に売られ、心ならずも一緒に出奔した男がろくでなしって……邪魔者が死んでからむしろたくましく生きられるのかも。
荻原浩『ストロベリーライフ』読了。
この小説はコロナによる働き方が変わる前に出されているので、今だとまたちょっと違う感じになるのかもしれない。が、農業はリモートワークができないことは明らかだし、農業を取り巻く問題はおそらく今もそんなに変わらないかも。ただ、こんな働き方もあるのか、気づかされる作品。とても面白かった。いちご狩り、確かに摘みたてはおいしいんだよなあ。